東京海上の保険金不払い問題 2014

もうさすがにないと思われた損保各社の保険金不払い問題。
2014年になって東京海上で12万件の不払いがあることが判明。
しかも書類は破棄されて詳細が不明という「不祥事隠し」ともいえるようなありさま。

東京海上グループといえば三菱財閥。
三菱自動車のリコール隠しといい、何か同じ企業体質があるのだろうか。

「東京海上グループ」を前面に押し出しているイーデザイン損保も、この親会社の不払い問題のようなことをしていなければいいのだが。



東京海上、未払い12万件か...自動車保険の一部

 東京海上日動火災保険が、保険各社で保険金の大量不払い問題が発覚した2005年、当時発表した以外にも自動車保険の一部を支払っていないことを内部調査で把握しながら対応せず、現在も最大で12万件の未払いが残っていることがわかった。その一方、未払いに気づいて請求してきた契約者には遅延損害金も上乗せして支払っていた。同社は取材に事実関係を認め、「不親切だったかもしれない。請求を受け、契約していたことなどが確認されれば支払う」としている。

 未払いが判明したのは、事故で負傷させた相手への賠償などに充てられる本体保険契約に付随する「対人臨時費用(臨費)」。見舞い費用や事故捜査に対応するための交通費などを補償する保険で、当時は、相手が死亡した場合は10万円、入院か通院なら2万~1万円を受け取れる契約だった。

 05年の問題発覚当時、金融庁は損保各社に対し、02年4月~05年6月の間の3年間を対象に不払い件数を調査するよう指示した。東京海上日動は05~06年に2回、調査結果を公表し、複数の保険で計約6万3000件が支払われていなかったとして謝罪。このうち臨費は約1万8000件で、契約者に通知したうえで保険金を追加払いした。

 ところが、同社によると、この臨費の不払い件数は、03年7月以降に本体保険の支払いを終えた契約者を調べたもの。それ以前の1年3か月間の未払いは最大で約12万件に上っていたが、契約者への通知も、公表もしなかった。03年7月以降より大幅に多いのは、臨費の支払いを幅広く認め、支払いの対象者も多かったためとみられる。

 02年4月~03年6月分を除外した理由について、同社は「この期間は、本体保険とは別に請求してもらわないと支払わない運用をしており、公表の必要はないと判断した」とする。しかし、臨費の加入契約は本体保険とセットで取り扱われ、約款に別途請求が必要との記載は一切なかった。

 一方、昨年たまたま未払いに気づいて請求してきた契約者には、事故があった02年を起点に遅延損害金を上乗せして支払っていたことも判明。同社は他にも同様の対応をしたと認め、今後も請求があれば、約款で2年と定めた請求の時効を放棄して対応するという。

 05年の保険金不払い問題は、臨費と同様、多数の付随保険や特約について、損保会社の担当者らが契約時や本体保険の請求時に受給できることなどを十分説明せず、「請求がない」として支払いを怠っていたことが発覚。これが金融庁の調査対象となり、「契約者軽視だ」と批判が上がった。

 この時に契約者に知らせていれば、多くの人が支払いを受けられたはずだが、同社は「請求がないと支払わない運用だったとしか言えない」としている。

 他の複数の大手損保は「これまでに公表した以外に未払いはない」とする。

 金融庁の津脇慈子・保険課長補佐は「当時公表された不払いは損保会社が調べたもので、こちらで調査していないため、詳細は分からない」としている。
保険金の不払い問題 損保業界では2005年2月、富士火災海上で発覚したのが発端。その後、各社で調査のたびに多数の不払いが判明、支払い管理体制のずさんさが露呈し、金融庁が業務改善命令などを出す事態に発展した。最終的に損保26社で自動車保険などの不払いは約50万件、380億円に達した。生保37社でも135万件、973億円の不払いが判明した。
未払いリストも作成...契約者「隠したのか」憤り
対人臨時費用が支払われていない契約者のリストの一部。「支払額」(写真右)は0、「支払可能額」(同左)には1万円や2万円の記載が並ぶ

 損保大手で、保険契約者からの信頼を損ないかねない事実が明らかになった。東京海上日動火災が、自動車保険の大量の未払いを契約者に通知していなかった問題。損保業界全体で不払いが表面化し、厳しい批判を浴びた2005年、同社も再発防止と信頼回復を誓ったはずだった。同じ時期に作成された内部文書や関係者の証言からは、社員らが「未払い隠しだ」と懸念していた様子も浮かび上がる。〈本文記事1面〉

 <臨費支払額 0>

 読売新聞が入手した内部文書には、数万人の契約者名とともに、こうした記載がずらりと並ぶ。同社が05年10月に内部調査を行った際、本体保険は支払われているのに、付随する1万~10万円の対人臨時費用(臨費)などが支払われていない契約者をデータベースから抽出したリストの一部だ。

 その大部分は、今回、契約者への通知対象から外されていたことが判明した02年4月~03年6月分。契約者の事故日、事故相手の通院・入院日数なども記され、同社が詳細な情報を保有していたことを物語る。

 「そんな資料まで作って、なぜ知らせてくれないの」

 リストに「臨費支払可能額 2万円」と記載されていた近畿地方の無職女性(50)宅を訪ねると、女性は驚いた様子で答えた。

 女性は02年4月頃、乗用車で追突事故を起こし、負傷して入院した相手の男性に見舞金を送るなどした。しかし、これまで同社の担当者からは何の連絡もなく、未払いだとは知らなかったという。女性は「隠していたとしか思えない」と不信感をあらわにした。

 リストに含まれていた別の男性(70)は「そんな保険があること自体知らなかった」と話す。02年5月、乗用車を運転中に前方の車に追突。相手女性がけがをして通院したため、見舞いの品を持って女性宅を訪ねた。本来ならば1万円が支払われるはずだった。

 男性は「保険内容を詳しく把握している人はほとんどいない。だからといって支払うべきものを支払わないのは不公平だ」と憤る。

 なぜ、契約者に知らせなかったのか。

 当時を知る社員の1人は「社内には未払い件数が膨れ上がることを恐れる空気があった」と証言する。

 未払いを公表しない会社の姿勢を疑問視する声もあった。内部調査にかかわった社員らは、00年にリコール隠しが発覚した三菱自動車の例を挙げ、「今回の対応はこの問題に通じるところがある」と記したメールを交わしていたという。

 同社は取材に「当時の判断としては問題はなかった」とするが、同社の内部文書には、一部の契約者には判断の誤りを認めたとも受け取れる記録も含まれる。

 東北地方の男性は昨年6月、知人の指摘で未払いに気付き、同社に支払いを要求。記録では、男性に「未払いであったことを謝罪した」とあり、同社は02年から支払いが遅れたことを認め、臨費1万円に加え、6645円を遅延損害金として上乗せしていた。

 同社は05年の不払い問題で他の損保会社と同様、金融庁から業務改善命令を受け、07年には再発防止策や経営責任の明確化などを柱とする業務改善計画を金融庁に提出した。

 それでもなお、大量の未払いを埋もれさせたままにしていた同社の姿勢に、契約者らは口をそろえて批判した。「気付かれなければ知らん顔。契約者軽視の体質は改まっていないのか」
(2014年2月6日 読売新聞)

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