日本損害保険協会(損保協会)のサイトを見ていたところ、損保各社の「お客様の声(苦情)とそれを受けた対応」というコーナーを発見した。
いわゆる不払い対応に端を発した、損保業界に対する消費者の不信感を払拭する目的で損保協会主導で各社に顧客からの苦情の件数やその内容、そしてそれに対する会社の取組み体制についての情報開示を会員各社にさせたものと思われる。
(チューリッヒやアクサなどは外資系で損保協会の会員会社ではないので掲載されていない)
各社のページの構成が似通っているところが、あいかわらず横並びの業界であることを象徴している。
内容的にはさほど見るべきものはないのだが、三井ダイレクトのページに興味深い情報を発見した。
それは、三井ダイレクトの事故対応を経験した顧客の満足度アンケート結果である。
自動車保険においては、商品の価値が「事故を起こしたときの安心」が重要であることから、「事故を起こす前の契約者の満足度」より「実際に事故にあって、三井ダイレクトの事故対応を体験した契約者の満足度」が特にその自動車保険の商品の良し悪しを判断するには正確な情報であると考える。
しかしながら、三井ダイレクトは自社契約者の事故対応についての満足度を開示してこなかった。その理由はこのアンケートの結果の悪さではないだろうか。
5段階評価で最もよい「満足」と回答した契約者は、わずか65.4%しかいないのである。
この数値を評価するにあたり、同じく5段階評価による事故対応満足度アンケートの結果開示しているソニー損保を見てみるとこちらは「満足」が77.9%である。
その差、12.5ポイントが保険料の差に見合ったものかどうかは消費者が決めることだが、三井ダイレクトの事故対応に満足している契約者が少ないことだけは明らかとなった。
私個人としてはこれまで、三井ダイレクトをダイレクト損保の中での「安かろう悪かろう」の代表格のように位置づけていたが、それを数値の面でも裏付ける結果であった。
これまで(現在でも)三井ダイレクトがPRに使っている「オリコンランキング」は、ポイントをばら撒くなどしているため、アンケートそのものの信頼性に疑問符がついていた。
また、オリコンランキング以外の一括見積りサイトが実施しているアンケートにしても、事故対応を経験していない回答者も含まれるため、単に「保険料」の多寡だけをもって評価をしている回答者が、三井ダイレクトのランキングの順位を押し上げていたものと推測される。
各社が自社のPRに使っている自動車保険の「満足度」といっても、「事故を経験していない契約者の満足度」と、「実際に事故を経験した契約者の満足度」とでは重みが大きく異なる。
その違いを見抜ける力を消費者自身が身につけていくことが、正しい自動車保険選びにおいては重要ではなかろうか。
なお、今回ベンチマークとして挙げたソニー損保の事故対応のレベルが高い現状は認めるとしても、ソニー損保の課題は多いと感じていることがある。
それはまた別の機会で述べることとする。
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三井ダイレクト損害保険の支払いの悪さ