三井ダイレクトのドライバー保険の記事を書いていて気がついたのだが、三井ダイレクトのサイトには「オリコンランキング1位」という誇らしげなバナーが掲載されている。
この手の外部のネットを利用したランキングは、投稿者や回答者は何らかの回答への対価を目的としていることが多いため、属性に偏りが出たり、価格志向が特に強い顧客層に偏るため、私自身は信頼性は高いと思っていない。
以前、悪質な事故対応や苦情対応で行政処分を受けたチューリッヒがJ.D.パワーアジアパシフィックのランキングで1位を取って以来、ネットによる外部のアンケート調査のランキングの信頼性には疑問を持っている。
今回、三井ダイレクトが1位を取ったという、「オリコンランキング」はいったいどんなものなのだろう。
URL:http://life.oricon.co.jp/rank_insurance/
三井ダイレクトのサイトのトップページにあるバナーをクリックすると、「20代以上の社会人」を対象としたアンケートのはずなのに、なぜか「19歳女性」のコメントが掲載されている。
この矛盾を発見したことから、このオリコンのアンケート調査の信頼性に疑問を感じた。
↓赤色に着色しているところに注目(クリックで画像が拡大します)
さっそく、リンク先にある、オリコンの自動車保険ランキングを見てみたところ、まず気がついたのがランキングの最下位に「明治安田損害保険」がランキングされていることである。
明治安田損保は、平成17年4月に、安田ライフダイレクト(旧ダイレクトライン)と明治損害保険が合併してできた保険会社であるが、明治安田損保は、合併以降、自動車保険(任意保険)は取扱っていない。
にもかかわらず、オリコンランキングで最下位とはいえ、ランクインしているのはなぜだろうか?誰が明治安田損保の自動車保険に投票したのだろう。
また、それぞれの保険会社のランキングのところに「クチコミを見る」というボタンがあり、クリックすると、保険会社ごとのユーザーのクチコミ情報の投稿をみることができる。
ここでも、自動車保険を扱っていない「明治安田損害保険」にほぼ毎日クチコミ情報が投稿されていることにも違和感を感じた。
あたかも、今現在も明治安田損保の自動車保険に加入しているかのようなコメントが続いている。
【明治安田損保の最近のクチコミ投稿より】
担当の誠実な対応に感心させられた。
[2007-07-01 ]
お見積もりの値段とサービスが良かった。
[2007-07-01 ]
窓口応対が良かった
[2007-06-30 ]
相手が格落ち要求およびゼロ主張するという何時案でしたが、解決してもらえました。
[2007-06-28 ]
地味ですが対応は大丈夫
[2007-06-25 ]
事故処理が大変早かった
[2007-06-25 ]
対応がとても丁寧で好感が持てます。
周囲にも加入している人が多いです。
[2007-06-25 ]
このオリコンのクチコミ情報を投稿するには、ユーザー登録が必要であり、メールアドレスや個人情報の登録が求められ、決して、投稿のためのユーザーの負担感は軽くない。
実際に存在するはずのない「明治安田損保の自動車保険契約者」は、どのようなきっかけでこのサイトを訪れ、個人情報を登録して、クチコミ情報を投稿するのはなぜだろうか。
この謎を解くべく、私自身、ユーザー登録を行なって、投稿をしてみた。
すると、その答えは簡単に解くことができた。
答えは、「投稿すればネットマイルが獲得できる」ことだろう。
(「ネットマイル」とは、ためたポイントのようなものを金券や航空会社のマイルに交換することができるもの)
ユーザー登録で200ネットマイルを獲得でき、クチコミ情報を投稿をすると、「1投稿につき20マイル獲得」できるのである。
さらに驚いたのは、1ユーザーIDで、連続で複数の会社に投稿することができるだけでなく、別の日であれば同じ会社にまた投稿ができ、ネットマイルを獲得できることである。
通常は、この手の投稿は連続投稿ができないような制御をするものと思っていたので、実際に連続投稿ができることに驚かされた。
これでは、実際に利用もしていない保険会社にまで、ネットマイル目当てで適当なコメントを投稿されるのは当然である。
実際に、「小遣い稼ぎ」系などのサイトでネットマイルの稼ぎ方が活発に情報交換されている。
本来、「クチコミ」は購入後の体験などを他人に知ってもらいたいという欲求から生じるものであり、金銭的な対価がなくても発生する。このため、そのクチコミの集合体が客観性を持ってくると考える。
だからこそ、消費者は、購入前に「クチコミ」を検索する行動をとり、企業側もクチコミをマーケティングに活かす手法に注目しているのである。
しかし、実際の利用者でなくても、投稿すれば投稿しただけ「ネットマイル」という金銭同等物ともいえる対価を与えている「クチコミ」は、本来の「クチコミ」ではないのではないだろうか。
少なくとも、クチコミサイトも、「投稿に対価を与えていること」を明記するべきである。
このようなその信頼性に疑問がある「クチコミ」まがいのものを、誇らしげに広告したり、自社のサイトのトップページからリンクを張っている三井ダイレクトに、企業としての「品格」に大きな疑問を感じるのは私だけだろうか?
ただでさえ損保業界自体、「保険金不払い問題」で、消費者からの信頼を失っているのだから、もっと「品格」を大切にした企業活動をしてもらいたいところだ。
営業数字ばかり追い求めると、また「不払い」のようなことが繰り返されることになる。
三井ダイレクトの今後に要注目だ。
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