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2007年7月 アーカイブ

2007年7月31日

三井ダイレクト2007年度3月期決算について思う

三井ダイレクトが2007年度3月期決算を発表した。


この1年の収入保険料の増収額は、ダイレクト損保1位のソニー損保とほぼ並んでおり、この勢いだとソニー損保の増収額を来年あたり抜く可能性が高い。

この契約の伸びの背景には、徹底した「品質より低価格」という企業戦略が功を奏したのだろう。
低価格を維持するために、顧客への電話対応を放棄するなど、インターネットに特化してきている。

「低価格」商品戦略というと、少し前に話題となったベストセラー「下流社会」に紹介されていた「日清食品」の所得階層別の商品戦略とイメージが重なってくる。

日清食品の安藤宏基社長は2004年9月中間期の決算発表の場での発言。
「日本人は年収700万円以上と400万円以下に2極化する。700万円以上の消費者向けに高付加価値の健康志向ラーメンを、400万円以下の消費者向けに低価格商品を開発する」

この日清食品の社長の発言の背景には、社外取締役である丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長のこんな一言があったそうだ。
「日本の消費者は米国のように所得によって2極化する。低所得層を無視しては、これからの日本企業は成り立ちませんよ」。


考えてみれば、三井ダイレクトを立ち上げた商社・三井物産も「保険業界の吉野家を目指す」といっていた。

「三井ダイレクト」と「三井住友海上」
「年収400万円以下向け」と「年収700万円以上向け」

この「三井」の冠をつけた2つの会社は、所得階層別にターゲットを明確に区別しているとみることもできる。

・最小限の補償を低価格で提供する「三井ダイレクト」
・高付加価値の代理店サービスと手厚い事故対応の「三井住友海上」

2007年2月に三井住友海上が三井ダイレクトへの出資比率を高め、子会社化すると発表した際は、既存の三井住友海上の代理店の反発を予想する損保業界人も多かったが、明確に顧客層を分けているのであれば、既存の代理店の業績への影響はそれほど大きくないのではないだろうか。


話を戻すが「電話対応をしない」三井ダイレクトの具体的な事例がある。

三井ダイレクトでは「ドライバー保険」を2007年6月に発売開始しているが、三井ダイレクトのサイトの右上にある「お問い合わせ」というところをクリックしたところ、「ドライバー保険につきましてはお電話でのお見積もり、お申し込みの対象外となります」と明記されている。

「ドライバー保険」のメインターゲットについて三井ダイレクトは、「新規免許証取得層(大学生・新社会人等のインターネットとの親和性が高い若年層)やライフスタイルの変化により自動車を手放した熟年層等」としている。
これらの人は、一般的にマイカーを所有している人と比較して、保険知識に乏しい人が多いと推測される。
本来、このような顧客層に対して、難しい保険商品を販売するには、対面もしくは電話での商品説明やコンサルティングは欠かせない。

消費者にとってわかりやすくシンプルな保険(たとえば、旅行保険や個人賠償責任保険など)でない限り、たとえインターネット専売商品であっても、正しく保険を理解し、納得して加入してもらうために、電話でも見積りや申込みを受付けることは必要ではないだろうか。

しかし三井ダイレクトは、会社のコストを削減するために、電話での見積り・申込みを受付けず、インターネットのみに特化しているのである。

もし、間違って補償内容を理解したままドライバー保険の契約をしたために、いざ事故が起きても補償されないということが発生しても、何もしてくれない。すべて「自己責任」で片付けられてしまうだろう。


このように、電話対応をやめ、顧客とのコミュニケーション手段をインターネットにシフトしていくのは「安い保険料」を維持し続けるためには不可欠なのかもしれないが、少なくとも自動車保険(ドライバー保険を含む)ではやってはならないことと考える。

インターネット上でのクチコミ情報でも、三井ダイレクトの被害者のクレームが比較的多く見受けられるが、これも「コスト削減至上主義」が事故対応サービスの品質に影響を及ぼしているのだろうか。

参考:http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=337


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2007年7月13日

三井ダイレクトの「クチコミ」の罠

前回、三井ダイレクトが「1位」をアピールしている「オリコンランキング」に掲載されているクチコミ情報の信頼性について記事にした。


オリコンランキングに投稿されているクチコミ情報について、「ネットマイルという金銭同等物に交換できるポイント目当てで、実際に利用もしていない人の投稿が大半ではないか?」という仮説を立てたが、その後、追跡調査していたところ、私の仮説が正しいことが確認できた。


【その後の経過】
実際に現在自動車保険を販売していない「明治安田損保」にほぼ毎日コメントが投稿されていたことが、このオリコンランキングそのものの信頼性に疑問を感じたきっかけだったが、その明治安田損保へのクチコミ投稿が、7月3日以降、ぱたっと止まった。

理由を調べたところ「1投稿で20ネットマイルをゲット」というキャンペーンが2007年6月30日までで終了していたことがわかった。
キャンペーン最終日の6月30日(金曜)に駆け込みで投稿したものが、土日をはさんで7月2日(月曜)に掲載されたため、7月2日(月曜)で投稿が急に減ったと推測する。
明治安田損保以外の保険会社も7月3日以降の投稿が減っているのも同様の理由と思われる。

以上のことから、特に7月2日までの投稿については、その信頼性を欠くものが多く混入しているとほぼ断言できる。

 ■オリコンランキングのネットマイルキャンペーンルール変更前後のクチコミ投稿件数の比較
 ・「6/24~7/2」と「7/3~7/13」のクチコミ投稿件数を比較
 
 三井ダイレクト :39件⇒13件
 チューリッヒ :23件⇒3件
 ソニー損保 :30件⇒8件
 アクサダイレクト :17件⇒3件
 アメリカンホーム :14件⇒2件
 そんぽ24 :10件⇒0件
 日新火災 :8件1件
 AIU :4件⇒0件
 東京海上日動 :8件⇒0件
 損保ジャパン :6件⇒0件
 日本興亜損保 :5件⇒0件
 三井住友海上 :6件⇒0件
 JA共済 :9件⇒0件
 富士火災 :9件⇒1件
 あいおい損保 :7件⇒3件
 大同火災 :6件⇒0件
 ニッセイ同和 :7件⇒0件
 共栄火災 :7件⇒2件
 明治安田損保 :8件⇒0件 

 投稿すればすれだけネットマイルがもらえるキャンペーンの影響が大きかったことがわかる。
 金をばらまかなければ、クチコミ情報を集めるのは難しいという事例といえる。
 これについては、またいずれコメントしたい。


【考察】
現在も、ネットマイルがもらえるキャンペーンはやっているが、これまでのように投稿すればするだけもらえるものではなくなっており、また同じようなキャンペーンが行なわれない限り、ネットマイル目当ての信頼性の低い投稿は徐々に減ってくると思われる。

 <現在のオリコンのネットマイルキャンペーン>
 > 投稿が掲載された方全員で20万mileを山分けする形となります。
 >尚、mile付与の対象となる投稿は1人20投稿までとなります。
 > 21投稿(掲載)以上はmile付与の対象となりません。ご了承下さい。


このため、オリコンのクチコミ情報の中から信頼性の高いクチコミ情報を見つけるには、ネットマイル目当ての投稿が止まったと思われる7月3日以降のコメントを見ればよいだろう。
(7月2日以前のものについては、コメントの文字数が多いものはそれなりに信頼性があると感じる)

また、この「クチコミ情報の信頼性」に関する記事を書いていて気がついたのだが、各社が広告やウェブサイトで自社のPRに利用しているアンケート調査も、その実施方法や調査対象者に大きな違いがあることに注目したい。

保険会社が自社のPRに利用しているアンケート調査の中には、
 ・実際にその会社に加入経験もない人の回答が含まれる可能性がある
 ・回答者の属性に著しい偏りがある可能性がある
 ・アンケートの企画自体が、特定の保険会社とのタイアップ
というような信頼性に疑義があるものも存在すると思われる。

このようなアンケート調査の結果は、消費者の商品選択において大きなファクターになることから、アンケート調査を自社のPRに利用することに対して、金融庁当局が何らかのガイドラインを示して、消費者が正しい商品選択ができるように改善されることを期待したい。


【自社のPRに利用されているアンケートの一覧】

三井ダイレクト
 ・「オリコンランキング」のアンケート/クチコミ情報
 ・「比較サイト:保険スクエアbang!」のアンケート

チューリッヒ
 ・「J.D. パワー アジア・パシフィック」のアンケート

ソニー損保
 ・自社顧客の事故解決後のアンケート

アメリカンホーム
 ・なし
  
アクサダイレクト
 ・なし

そんぽ24
 ・なし


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2007年7月 5日

三井ダイレクトのクチコミ情報

三井ダイレクトのドライバー保険の記事を書いていて気がついたのだが、三井ダイレクトのサイトには「オリコンランキング1位」という誇らしげなバナーが掲載されている。

この手の外部のネットを利用したランキングは、投稿者や回答者は何らかの回答への対価を目的としていることが多いため、属性に偏りが出たり、価格志向が特に強い顧客層に偏るため、私自身は信頼性は高いと思っていない。
以前、悪質な事故対応や苦情対応で行政処分を受けたチューリッヒがJ.D.パワーアジアパシフィックのランキングで1位を取って以来、ネットによる外部のアンケート調査のランキングの信頼性には疑問を持っている。

今回、三井ダイレクトが1位を取ったという、「オリコンランキング」はいったいどんなものなのだろう。
URL:http://life.oricon.co.jp/rank_insurance/

三井ダイレクトのサイトのトップページにあるバナーをクリックすると、「20代以上の社会人」を対象としたアンケートのはずなのに、なぜか「19歳女性」のコメントが掲載されている。
この矛盾を発見したことから、このオリコンのアンケート調査の信頼性に疑問を感じた。

↓赤色に着色しているところに注目(クリックで画像が拡大します)


さっそく、リンク先にある、オリコンの自動車保険ランキングを見てみたところ、まず気がついたのがランキングの最下位に「明治安田損害保険」がランキングされていることである。

明治安田損保は、平成17年4月に、安田ライフダイレクト(旧ダイレクトライン)と明治損害保険が合併してできた保険会社であるが、明治安田損保は、合併以降、自動車保険(任意保険)は取扱っていない。

にもかかわらず、オリコンランキングで最下位とはいえ、ランクインしているのはなぜだろうか?誰が明治安田損保の自動車保険に投票したのだろう。

また、それぞれの保険会社のランキングのところに「クチコミを見る」というボタンがあり、クリックすると、保険会社ごとのユーザーのクチコミ情報の投稿をみることができる。
ここでも、自動車保険を扱っていない「明治安田損害保険」にほぼ毎日クチコミ情報が投稿されていることにも違和感を感じた。
あたかも、今現在も明治安田損保の自動車保険に加入しているかのようなコメントが続いている。


【明治安田損保の最近のクチコミ投稿より】

担当の誠実な対応に感心させられた。
[2007-07-01 ]

お見積もりの値段とサービスが良かった。
[2007-07-01 ]

窓口応対が良かった
[2007-06-30 ]

相手が格落ち要求およびゼロ主張するという何時案でしたが、解決してもらえました。
[2007-06-28 ]

地味ですが対応は大丈夫
[2007-06-25 ]

事故処理が大変早かった
[2007-06-25 ]

対応がとても丁寧で好感が持てます。
周囲にも加入している人が多いです。
[2007-06-25 ]

このオリコンのクチコミ情報を投稿するには、ユーザー登録が必要であり、メールアドレスや個人情報の登録が求められ、決して、投稿のためのユーザーの負担感は軽くない。

実際に存在するはずのない「明治安田損保の自動車保険契約者」は、どのようなきっかけでこのサイトを訪れ、個人情報を登録して、クチコミ情報を投稿するのはなぜだろうか。

この謎を解くべく、私自身、ユーザー登録を行なって、投稿をしてみた。

すると、その答えは簡単に解くことができた。
答えは、「投稿すればネットマイルが獲得できる」ことだろう。
(「ネットマイル」とは、ためたポイントのようなものを金券や航空会社のマイルに交換することができるもの)


ユーザー登録で200ネットマイルを獲得でき、クチコミ情報を投稿をすると、「1投稿につき20マイル獲得」できるのである。

↓オリコンに投稿すると表示される画面


さらに驚いたのは、1ユーザーIDで、連続で複数の会社に投稿することができるだけでなく、別の日であれば同じ会社にまた投稿ができ、ネットマイルを獲得できることである。
通常は、この手の投稿は連続投稿ができないような制御をするものと思っていたので、実際に連続投稿ができることに驚かされた。
これでは、実際に利用もしていない保険会社にまで、ネットマイル目当てで適当なコメントを投稿されるのは当然である。

実際に、「小遣い稼ぎ」系などのサイトでネットマイルの稼ぎ方が活発に情報交換されている。

本来、「クチコミ」は購入後の体験などを他人に知ってもらいたいという欲求から生じるものであり、金銭的な対価がなくても発生する。このため、そのクチコミの集合体が客観性を持ってくると考える。
だからこそ、消費者は、購入前に「クチコミ」を検索する行動をとり、企業側もクチコミをマーケティングに活かす手法に注目しているのである。

しかし、実際の利用者でなくても、投稿すれば投稿しただけ「ネットマイル」という金銭同等物ともいえる対価を与えている「クチコミ」は、本来の「クチコミ」ではないのではないだろうか。
少なくとも、クチコミサイトも、「投稿に対価を与えていること」を明記するべきである。

このようなその信頼性に疑問がある「クチコミ」まがいのものを、誇らしげに広告したり、自社のサイトのトップページからリンクを張っている三井ダイレクトに、企業としての「品格」に大きな疑問を感じるのは私だけだろうか?

ただでさえ損保業界自体、「保険金不払い問題」で、消費者からの信頼を失っているのだから、もっと「品格」を大切にした企業活動をしてもらいたいところだ。
営業数字ばかり追い求めると、また「不払い」のようなことが繰り返されることになる。

三井ダイレクトの今後に要注目だ。


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