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2007年6月 アーカイブ

2007年6月23日

三井ダイレクトがドライバー保険発売

三井ダイレクトがドライバー保険を発売すると発表した。

ドライバー保険とは、簡単に言えば「免許は持っているが、自分の車を持っていない人」が他人の車を運転して事故を起こした場合に備える保険である。
(「他人の車」には家族(本人・配偶者・同居の親族が所有する車は含まれない点は要注意である。)

さっそく、三井ダイレクトのドライバー保険の「特長」をチェックしてみる。

【三井ダイレクトのドライバー保険の補償内容】
■基本補償

・借用自動車運転中の対人・対物賠償(示談交渉つき)
・自転車運転中の対人・対物賠償(示談交渉つき)

■オプション(任意で選択可能)
・3つの傷害保険(搭乗者傷害危険担保特約、人身傷害補償特約、自損事故傷害保険)を選択可

・他車との事故により対物賠償保険金が支払われる場合は、借用自動車の車両損害についての臨時費用をお支払いする車両損害臨時費用担保特約(5万円)も選択可

目新しいところとしては、「自転車運転中の賠償事故」を補償することと、借りた車を事故(車同士の事故に限る)で破損させた場合に、5万円を臨時費用として支払う特約がある。

【評価】
まず、「自転車運転中の賠償事故」を補償する保険というのは、一般的には「個人賠償責任保険」の範疇だと思う。

三井ダイレクトの「ドライバー保険」では「自転車事故に限定」しているところが要注意事項である。
一般的な個人賠償責任保険なら、自転車事故だけでなく、日常生活での賠償事故(たとえば、スキー場で他人をケガをさせた場合など)でも保障の対象になる。しかし、これをあえて「自転車事故に限定」するくらいなら、「自転車保険」を発売するほうがよっぽど気が利いていると思う。
保険料を安く見せるために、補償を薄くするというのがこれまでの三井ダイレクトの常套手段であるが、
補償を薄くする場所を間違っているような気がする。


次に「借りた車の損害に対し5万円の臨時費用」というのも、借りた車を事故で壊して、5万円ではどれだけ役に立つのか疑問である。しかも、車同士の事故しか支払われないということだと、借りた車をちょっとこすってしまった場合などは1円も支払われない。


「特長」として掲げている2つを見ると、いかにも「薄い補償を、安い保険料で」という三井ダイレクトのマーケティング戦略を象徴していると感じる。

この三井ダイレクトのドライバー保険の発売経緯についてサイトを見ると、
「他人の自動車やレンタカーを利用する際のリスクに備えるドライバー保険のより一層の普及の必要性に加えて、急増する自転車事故における相手方への賠償の備えとしてのニーズの高まりからこの商品を開発・発売することとなりました。」とある。これについてもコメントしてみる。


まず、「レンタカーを利用する際のリスクに備える」とあるが、普通のレンタカーには、対人・対物や搭乗者傷害がカバーされる自動車保険がついており、ドライバー保険は一般的には必要ない。
それよりも、レンタカーでは、事故を起こした場合にレンタカー会社から請求される「ノンオペレーションチャージ」と呼ばれるペナルティ(5万円~12万円前後)のほうが痛い。

また、「他人の自動を利用する」とあるが、三井ダイレクトのドライバー保険に加入しても、借りた車を壊した場合、5万円(しかも車同士の事故のみ対象)しか支払われない。

ドライバー保険を自ら加入しようと思う人にとっては、「借りた車を壊してしまった場合の補償」が重要なのではないだろうか?(対人・対物は当然として)
さらに、借りた車の保険を使った場合に、その車の自動車保険の等級をダウンさせてしまう(=車の持ち主の保険料アップ)ことを考えると、ドライバー保険に入ったからといって、安心して他人の車を運転できるとはいえない。車の持ち主に迷惑を掛けると、後々の人間関係にも影響が出かねない。


古くからある「ドライバー保険」を、ダイレクト系の損保がインターネット専用商品として発売するからには、もっと消費者のニーズを捉えた画期的な商品として発売して欲しかった。

ダイレクト系売上1位のソニー損保が目新しい顧客サービスや補償を出してこなくなり、ある意味「普通の保険会社」となってきている現在、業績を急激に伸ばしている三井ダイレクトの動向に個人的に注目していただけにちょっと残念である。



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2007年6月12日

三井ダイレクトの急伸

三井ダイレクトの2006年度の決算について、6月6日に六本木のミッドタウンで開催されたセミナーで、およその数字が明らかとなった。

同社の保険料収入は対前年比22%増の224億6000万円,契約数は同25%増の50万件となり,鈍化しつつあった成長率に一気に弾みをつけた。
三井ダイレクト2006年度決算速報

通販保険業界の中でトップの成長率となり,市場シェアも業界5位から3位に躍進したという。
昨年、今後の会社の戦略をwebに特化していていく戦略に転換して以来、新聞などのマスメディアでの広告を見かけなくなっていた。

さすがにマスメディア広告の出稿量が減れば、マーケティングコストが抑えられても、契約件数の伸びは鈍化するのではないかと思っていたのだが、実際には極めて高い伸びとなり、ダイレクト系損保の中でシェア3位にまで上昇したというのは驚きである。
マスメディア広告に大量出稿しているチューリッヒやソニー損保と対照的な営業戦略といえる。

ではなぜ、三井ダイレクトは、マスメディア広告の出稿量を減らしたにもかかわらず、契約件数がこれほどまで伸びたのだろうか?


【仮説】他のダイレクト系損保の広告出稿量の増加によって、比較サイト経由で三井ダイレクトに流入する人が増えた。

自分が保険をあまり知らない一消費者だったと仮定して、チューリッヒのテレビCMを見た際の行動を考えてみる。

(1)チューリッヒのテレビCMを見る。
(2)「チューリッヒって安いみたいだし、サービスもよさそう」という印象を受ける。
(3)Yahoo!などの検索エンジンで「チューリッヒ 自動車保険」で検索する。
(4)もともと指名買いのつもりだったが、比較サイトという便利なものの存在を知る。
(「公式サイトより安いのかも?」「他にも安い会社があるのかも?」といった感じ)
(5)比較サイトで、チューリッヒの見積りをするついでに、いくつかの保険会社の見積りも依頼してみる。
(6)比較を依頼した会社の中で、三井ダイレクトの保険料が安かった。
(7)安いからといっても、他社の保険と比べてどこが劣っているかよくわからない。
(8)比較サイトには「三井ダイレクトが一番選ばれている」と書いてあるし、心配なさそう。
(9)三井ダイレクトで契約しよう。

こんな感じではないだろうか。

【↓比較サイトにおける三井ダイレクトの広告記事の例】
三井ダイレクトの広告例


もともとはテレビCMで認知し「指名買い」のつもりになったとしても、それはたまたまCMで目に留まったのが「チューリッヒ」なだけであって、積極的に「ぜひチューリッヒに加入したい」というまでの強いモチベーションにまで至っていないことが、比較サイト経由で三井ダイレクトに契約が流入する理由だろう。

「自動車保険の見直し」のきっかけが「自動車保険を安くしたい」という認識である消費者にとっては、他に安い保険があるのであれば、「チューリッヒ」である必要はなく、より安いほうに流れるのは当然である。

三井ダイレクトにとっては、自社の広告を出さなくても、他のダイレクト系損保がマス広告を大量出稿した結果、消費者がたまたま比較サイトで自社の存在を認知してくれ、圧倒的な安さを武器に契約を獲得できる戦略といえる。例えるなら「コバンザメ戦略」といったところだろうか。

それよりも私に理解できないのは、ダイレクト損保の中では保険料がさほど安くないといわれるソニー損保や、アメリカンホーム、そんぽ24などが比較サイトに掲載を続けていることである。

他社との商品の差異(事故処理体制などの違いなど)を伝えにくい比較サイトに商品掲載を続けることは、「理由はよくわからないが何だか高い会社」という「マイナスのブランディング活動」といえないだろうか。
もちろん費用対効果があるから掲載しているのだろうが、「マイナスのブランディング」による長期的な観点での悪影響まで考慮しているとは思えない。

価格差の理由を理解できなかった消費者は、自分のブログや口コミで「チューリッヒはCMほど安くなかった」「三井ダイレクトが安かった」と他人に話すことがあるだろう。
この口コミの連鎖によって、三井ダイレクトのような低価格志向の保険会社は契約を伸ばし続け、他のダイレクト系損保は苦戦することになっていくだろう。

ただし、東京海上日動などの既存国内損保は別である。
価格競争力がないことが自ら分かっているにもかかわらず、既存国内損保が比較サイトに商品掲載しているのは、すでに「老舗」のブランドが浸透している自負があるからだろう。

比較サイトでダイレクト系との違いを訴求できないにしても、「老舗」として培われた知名度やブランドによって、保険料がダイレクトに比べて高い理由が「安心感」「高品質」という印象を与える。
比較サイトに掲載することが「マイナスのブランディング」と判断しておらず、「高いにはやはり理由がある」という印象を与える「プラスのブランディング活動」といってもいいのかもしれない。


ダイレクト1位の地位を固め、2006年度の決算で開業以来初めて黒字化を達成したソニー損保ですら、その契約の伸び率は鈍化している。(規模が拡大しているので当然だが)
今後、三井ダイレクトの猛迫によって、ダイレクト系損保1位が逆転することも充分考えられる。

では、三井ダイレクト以外のダイレクト系損保は、どう戦うべきなのだろうか?

まずは比較サイトという場で「三井ダイレクトより高い理由」をどう消費者に伝えるかを考えるべきだろう。
もしそれができないのならば「比較サイトから撤退すること」が必要だろう。

【私が考える戦略】
(1)チューリッヒ、ソニー損保、アメリカンホームなどが比較サイトを撤退
(2)主要ブランドがラインナップされていない比較サイトの利用価値低下
(3)三井ダイレクトの集客力低下
(4)三井ダイレクトがマスメディア広告への出稿が復活
(5)三井ダイレクトの低価格戦略に限界

ただ、他のダイレクト系損保が、「比較サイトにラインナップすることが三井ダイレクトの追い風となっている」ということを理解しているか疑問はあるのだが。


今後、三井ダイレクトがこの成長をどこまで続けるのか。
また、それに対するダイレクト損保各社はどのような戦略を取るのか。
注目していきたい。

話は変わるが、こんなブログを見つけた。
http://blogs.yahoo.co.jp/s_tblue/47656031.html
以前の「ソニー損保は使えない」ブログと状況がちょっと似ている。


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