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2006年9月 アーカイブ

2006年9月30日

まだ隠されている保険金不払い

損保の保険金不払い問題であるが、損保業界が意図的に隠している未払いが実はまだあると私は思っている。

それは「被害事故での『人身傷害保険金』の未払い」である。

人身傷害は今や70%の付帯率(自動車保険契約数に対する人身傷害加入数の割合)という、スタンダードな補償といっても過言ではないほど普及している商品である。
しかし、補償内容は一般の消費者には理解しにくいものであり、保険金の算出方法も複雑な商品である。


例えばこんなケースがあるとする。
<事故状況>
信号待ちをしていたところ、後続の車に追突され、軽いムチ打ちとなった。相手方は任意保険に加入しているとのこと。

<事故当初のやりとり>
とりあえず、自分の加入している保険会社に事故の連絡を入れる。
相手方も任意保険に入っているので、自分の車の修理費や病院の治療費は相手方の保険会社が支払ってくれるとのこと。

<自分の加入している損保担当者の発言>
「相手方の保険で対応してもらえるのであれば、当社としては特に対応することもありませんので、何かあればご相談下さい」
「搭乗者傷害保険にご加入なので、ケガが治った時点でご連絡下さい」

<その後の流れ>
幸いケガも大したことがなく、1ヶ月くらいのの通院で後遺障害もなく治った。
車もきれいに修理されて戻ってきた。
ケガについても、車についても、相手方の損保とスムーズに示談解決できた。
自分の加入している損保担当者にその旨を伝えたら、自分のケガに対して、搭乗者傷害保険金を支払ってくれた。

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上のケースはあくまでも架空のものだが、現場では日常的にあるやりとりである。
では、何がこのケースで「保険金不払い」なのだろうか?

仮に、今回のケースで相手方の保険会社から支払われたケガの賠償金が10万円としよう。
これを仮に、相手方の保険会社ではなく、自分が加入している人身傷害に請求し、保険金を算定してもらうと12万円になる場合、契約者はこの差額の2万円を自分の人身傷害から支払ってもらうことができる。
このような差額部分を契約者から請求される前に、積極的に案内し、支払っている保険会社はどれだけあるだろうか?これを案内していないことは「不払い」そのものではなかろうか?
(人身傷害は保険金を支払ってもノンフリート等級(保険料の無事故割引)には影響しないため、契約者側が自分の人身傷害に差額部分の保険金請求をするデメリットはない)

この事例のように、相手方損保から賠償を受けている契約者に対して、人身傷害の差額部分の支払を案内していない事例が、これまでに損保各社から発表になっている「不払い」にはほとんど含まれていないのではないかという疑念を持っている。
これが「不払い」になるというのであれば、各社の不払い件数はこれまでの件数では済まされない。

損保各社(特に損調部門)はこのことに気がついているはずだが、金融庁から指摘されていないのか「不払い」扱いとはしていないようだ。
「契約者から請求が来ない限り支払わない」という損保の体質はどうすれば変わるのだろうか?

「まだ隠されている保険金不払い」に金融庁がメスを入れることに期待しよう。

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損保の保険金不払いはなくならない。

結論から言うと損保各社の保険金不払い問題はなくならない。
損保側の正直なところは、意図的な「不払い」ではなく、担当者の業務知識の欠如による「払い忘れ」と反論したいところだろう。
マスコミのほとんどが「不払い」という表現をしている一方、損保各社のニュースリリースで「不払い」という表現を使っていないことからも、損保各社の本音が見え隠れする。

私も、損保に入社するまでは、保険金支払部門(損害調査部とかサービスセンターという名称の部門)の担当者は、保険商品知識が豊富であるだけでなく、示談交渉に必要な法律知識や賠償理論など専門的な知識を持った人の集団なんだろうと、想像していた。少なくともお金にかかわる業務をするからには何らかの資格を持っているのだろうと。
おそらく保険の契約者も事故を起こした際に担当してくれる担当者は「保険のプロ」と疑ってやまないだろう。
しかし実態は資格制度などもなく、専門知識などないも同然の素人集団だ。

担当者は入社時にちょっと研修を受けて、すぐに現場に配属され、現場でのOJTまかせとなる。
教える上司も専門知識がなかったりすると、教えられるほうもまともな知識は身につかない。
次々に発売される新商品についても、「研修を各現場で行って報告してくれ」という通達が本社から送られてくるだけで、実際にどの程度知識が定着しているかチェックすらしない。
自動車事故を扱う担当者などは運転免許すら持っていないのに、「道路交通法で決まっています!」「判例がありますから!」とあたかもプロフェッショナルのような用語を使って契約者や事故の被害者を威圧する。

損保の採用体制も問題である。
精神的にはきつい仕事なので、離職率は高く、次々に辞めては採用をしということの繰り返しであり、自衛隊OBや取引先の企業を定年退職したおっさんの再就職先として受け入れているような実態である。
失礼ながら60歳前後で初めて損保に再就職し、保険商品知識や法律知識などを身につけろというほうが無理である。学歴で人の能力を判断することは出来ないが、損保の総合職は大卒以上である一方、損調部門の中途採用は高卒でもOKというのも、損調部門を軽んじていることの現われだろう。

金融庁は、損保の保険金支払部門の担当者に何年かごとに更新が必要な資格制度を設け、少なくとも専門知識だけは一定水準をクリアしていることを消費者に保証するしくみをつくるべきであろう。
単に社内でのチェック機能とか人員増員といった対応では保険金の不払いは永久になくならない。

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(以下 産経新聞より)
損保不払い26万件162億円に 大手6社

 損害保険各社の保険金不払い問題をめぐり、損保26社は29日、不払い実態の再調査の結果を金融庁に報告した。東京海上日動火災保険など大手6社は、自動車保険の特約を支払っていなかったなどの問題件数が昨年11月の金融庁による処分時より12万件増加して、約26万件に達した。不払い額も倍増し、約162億円となった。

 金融庁は報告を受けて、行政処分も視野に入れて徹底聴取する。

 従来報告に比べて大幅に増えたのは、搭乗者傷害と自損事故といった複数の支払い理由があったのに、その一方しか支払わなかった事例を精査し直したことに加え、調査対象とする特約を拡充、支払い辞退の意思を再確認するなどしたところ、追加で支払うべき事例が多数見つかったため。

 報告後に6社は日銀内で記者会見し、「商品開発から支払い、チェックまで業務全般に問題あった」(東京海上日動の石原邦夫社長)など、業界の体質問題への反省の弁が相次いだ。

 また、すでに業務停止命令を受けている損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険を除く各社が、不払い件数の大幅増を受けて、金融庁の聴取後、役職員の追加処分を検討する。

 損保の不払い問題は、国内全損保48社のうち26社で約18万件、計84億円超の不払いがあったとして、金融庁が昨年11月、26社に一斉に業務改善命令を出した。しかし、その後も損保ジャパン、三井住友海上で新たな不払いが発覚し、両社は業務停止処分を受けた。

 このため、金融庁は異例の再調査が必要と判断。26社に特約など付随的な保険金の不払い実態の調査結果と再発防止策を、今月末までに報告するよう求めていた。

(09/29 23:27)


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