20)既存国内損保の最近のブログ記事

損保ジャパンが携帯電話での継続手続きを始めたようだ。
既存国内損保がダイレクトのビジネスモデルに近づいていっている。

はたして代理店の存在意義は新規契約獲得だけなのだろうか?


携帯で自動車保険更新...損保ジャパン
 損害保険ジャパンは14日、自動車保険の契約更新を携帯電話で可能にするサービスを15日から始めることを明らかにした。郵送で送られた更新通知に記された「QRコード」を携帯電話で読み取るなど、簡単な操作で更新手続きを完了できるという。

 携帯電話での契約更新を行うのは、大手損保では初めて。損保業界は、インターネット経由で契約を結ぶことができるダイレクト系損保が、割安な保険料と、契約手続きの手軽さなどを武器に販売を伸ばしている。これに対抗し、契約者がダイレクト系損保に契約を乗り換えることを防ぐ。手続きの簡素化が、保険料の値下がりにつながる可能性もある。今後も、新規契約については商品の丁寧な説明が必要だとして、対面販売とする。

(2010年2月15日 読売新聞)

あいおい損保が、事故対応システムと電話機能を一体化させて「待たせない電話対応」を実現したニュースを2010年1月25日発表した。


従来は「事故受付番号は何番ですか?」というような「何件もある事故の1件」のような対応をするのが一般的と思われるが、これがなくなると顧客にとっては信頼感につながるだろう。

個人の電話で番号通知をしている人がどれくらいの割合いるのか不明だが、合併前のあいおい損保がこういうサービスを開発するのは、合併会社の主導権を取ろうとしている証拠だろう。


あいおい損害保険株式会社(社長:児玉正之)は、事故対応システムと電話機能を一体化させることで、お客様の電話番号から即座に事故情報を自動検索し、「お待たせしない電話応対」を実現する「CTI(Computer TelephonyIntegration)機能」を搭載した事故対応システム「アンサンブル」を開発いたしました。

 本システムは、本年2月より全国展開を開始し、2011年3月末までに全てのサービスセンターに導入いたします。

【業界初 CTI機能による事故対応システム】

1.事故担当者へのダイレクト着信機能
 お客様の発信電話番号から自動的に事故情報を検索して「該当の担当者」を選定し、担当者の電話にダイレクトに着信。取次ぎなどでお客様をお待たせすることなく応対します。また、該当の事故担当者が電話中や不在の場合には、「着信振り分け機能」により、お客様と最後に電話応対したスタッフの電話に着信しますので、その時々で一番最適な担当者が応対します。

2.電話番号から事故情報を自動検索
 お客様の発信電話番号から自動的に「該当の事故情報」を検索。事故担当者のパソコン画面に事故情報を表示させることで、「いつの事故」の「誰から」の電話か即座に判別でき、スムーズな応対が可能となります。


詳細(pdf)http://www.ioi-sonpo.co.jp/corporate/news/pdf/2010/20100125a.pdf

全労済の等級制度

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全労済の等級制度が22等級まであることは知っていたのだが、17等級以上は1回事故を起こしても等級が2等級しか下がらないことを初めて知った。


22等級(64%割引)で1件事故を起こしても、翌年は20等級で、しかも割引率が64%と22等級と同じになっている。

事実上、これ以上割引が進まなくなった優良顧客に「等級プロテクト」をプレゼントしているのと同様だ。

また、17等級以上なら1件の事故で2等級しか下がらないというのも、優良ドライバーを優遇するという考えからいくと顧客視点での制度といえる。

既存の損保やダイレクト損保ばかりに注目しがちだが、全労済の動向も要チェックだ。

損害保険ジャパンが事故対応コールセンター「事故サポートデスク」開設すると発表した。

注目ポイントは2つ

1.車両単独事故や100:0対物事故を受付から支払いまで集中化
2.事故受付に加えて、相手方への連絡などの初期対応も24時間365日


1.は現地で対応する必要が少ない簡易事案を集中化し、業務効率を高めるもので、主に「コスト削減」という「会社側のメリット」がある。


では「顧客側のメリット」は何なのだろうか。
まず車両単独や100:0案件という「交渉業務」があまり必要とされないものは、「支払いスピード」が顧客満足において最重視される。
この集中化によって支払いスピードが向上すれば、顧客価値は大きい。

それだけではない。簡易事案を集中化することによって、全国各地にある現地サービスセンターの存在価値をより高めることができる。
現地サービスセンターは、簡易事案の対応をする必要がなくなり、それによって生じた余剰時間を、お互いに過失割合が発生する事故(過失案件)や対人事故などの交渉業務に充てることができる。1件1件をじっくり腰をすえて対応することができるのである。

お互いの言い分が異なることが多い過失案件や、解決まで時間がかかる対人事故においては、「集中化」戦略はなじまないことを損保ジャパンはよくわかっている。
このような事案は、現場確認を行ったり、契約者や被害者面談を行うことが、契約者・被害者双方に安心感・納得感を与え、それが結果的に解決までの日数を短縮する。
このように、現地サービスセンターがより大きな顧客価値を生み出すようになってくるということである。


では、ダイレクト各社はどうだろうか。
ダイレクト自動車保険各社は「集中化によるコスト効率」しか考えていないように見える。
過失案件であっても面談をしない前提で、事故処理拠点を集中化している。
東京や大阪にしか事故処理サービスセンターを設置していないイーデザイン損保などがその典型だ。

2.の「24時間365日の初期対応」という点に関しては、富士火災がもっとも進んだサービスを提供していたが、損保ジャパンもこれに追随したものだ。
富士火災は「ベリエスト」という最上級商品の契約者限定であるが、損保ジャパンは顧客を区別せずに全契約者がこのサービスを利用することができそうだ。

ダイレクトの中には「休日でも平日同様のサービス」などと称し、休日に初期対応をしている会社もあるが「対応は日中だけ」である。
既存損保が「24時間365日の初期対応」を提供し始めると、ダイレクト各社の事故処理サービスに関する優位性は失われたといっても過言ではない。

ダイレクトの自動車保険が日本で誕生してからほぼ10年が経過するが、既存損保が事故対応に力を入れ始めた一方、ダイレクトはロードサービスのスペック競争にとどまり、肝心の事故処理はたいした進化をしていない。

おそらくこのままでは、ダイレクト自動車保険はある程度までは規模の拡大はできるだろうが、どこかの時点で必ず頭打ちになり、ダイレクト各社間でのパイの奪い合いになる時期が来ると考える。
本気で既存国内損保から顧客を奪おうとするなら、「ダイレクト自動車保険=安かろう悪かろう」という棲み分けが定着する前に、顧客価値が高い事故サービス体制を再構築する必要があるだろう。



損保ジャパン、事故対応コールセンター「事故サポートデスク」を新設
(日本経済新聞2009年6月11日)


自動車事故「事故サポートデスク」を新設

全国の自動車事故受付を一元集中化し、車両単独事故などはお支払いまで一貫対応

株式会社損害保険ジャパン(以下「損保ジャパン」、社長 佐藤正敏)は、リテールビジネスモデル革新プロジェクト「PT-R」の一環として、2009年12月(予定)に業界最大規模(東京401、大阪162の計563ブース)の事故対応コールセンター「事故サポートデスク」を新設し、高品質かつ均質な自動車事故対応サービスの提供を開始します。

1.「事故サポートデスク」の特長

(1)全国の自動車事故受付集中化・車両単独事故などのコールセンターによる一貫対応(業界初)
 「事故サポートデスク」では、電話・FAX・インターネット経由で全国のお客さまおよび代理店から事故を一元集中化して受け付けるほか、東京・大阪地区の車両単独事故や相手方に過失がない対物事故などについては、事故受付から請求のご案内、保険金のお支払いまで一貫して対応します。
これにより、一連の業務を分断することなく、これまで以上に迅速に、お客さまにきめ細かなサービスを提供します。

(2)初期対応諸費用に対するキャッシュレス対応
 「事故サポートデスク」で事故を受け付けた際に、提携業者をご案内することで、事故直後に発生する諸費用について、キャッシュレス対応を実現します。
これにより、レッカー費用・タクシー費用・宿泊費用などについては、原則としてお客さまに費用立替のご負担をおかけすることがなくなります。

(3)事故の相手方への即時連絡サービス
 事故の初期対応を充実させ、「事故サポートデスク」で受け付けた事故について、必要に応じて平日の夜間や休日に、事故の相手方への連絡を即時実施するサービスを開始します。
従来の24時間365日の事故受付対応に加え、事故の相手方への連絡を迅速に実施することで、お客さまにいち早く安心をお届けします。


2.国内損保初の新事故受付システムを導入

 「事故サポートデスク」では、先進的かつグローバルスタンダードに即した高度なシステムサービスを実現するために、欧米を中心に数多くの導入実績と成功事例のあるアクセンチュア社の保険金支払業務専用パッケージソフトウェア「The Accenture Claim Components Solution」(以下「CCS」)を国内損害保険会社として初めて導入しました。

 CCSを中心としたシステムにより、事故の発生状況を伺うだけでお客さまに自動的にお支払いの可能性がある保険金種類を事故受付時にご案内できるようになるほか、オペレーターとお客さまの会話内容に応じてシステム画面を順次更新するサポート機能により、オペレーターの経験年月に関係なく、最適な事故対応が可能となります。
 また、CCSはオペレーター業務の支援や事務処理の進捗管理などに充実した機能を持つため、オペレーター教育にかかる時間や「事故サポートデスク」の運営コストの削減が可能となります。


3.今後の展開

 損保ジャパンでは、2011年7月までに「事故サポートデスク」を900ブースの規模に拡充し、全国の車両単独事故や相手方に過失がない対物事故などのお支払いまでを一貫して実施する体制とする予定です。
 すべての価値判断をお客さま視点に基づいて行い、お客さまから選ばれ続ける会社を目指して、損保ジャパンは新しいビジネスモデルの構築に引き続き取り組んでいきます。

いつも参考にさせていただいている「保険Walker」さんのブログで、「ソニー損保の人身傷害シミュレーションが不必要な高い補償を勧めている」という指摘が以前からなされている。

http://hokenwalker.seesaa.net/article/42212550.html
http://hokenwalker.seesaa.net/article/117328034.html
http://hokenwalker.seesaa.net/article/119655851.html

そこで、各社の人身傷害が勧めている補償額について調べてみた。


【既存損保各社の人身傷害が勧めている補償額の状況】

・東京海上日動
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・損保ジャパン
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・三井住友海上
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・あいおい
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・日本興亜
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・三井ダイレクト
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・ソニー損保
「人身傷害シミュレーション」
(※サイトに他社のような表がないため、人身傷害シミュレーションで試算)
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「おすすめプラン」
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【結論】
各社が勧めている人身傷害の補償額は各社とも基本的に相違なし。(年齢別平均賃金を元に各社約款記載の算出方法で計算したものを1000万円単位に数字を丸めているものと推測される)

なお、保険Walkerさんが指摘しているソニー損保については、「人身傷害シミュレーション」は各社と同じ算出方法と推測され、さほど問題だとは感じない。

ただし、「おすすめプラン」の「パートナーセレクト」と「ファミリーセレクト」の「人身傷害:1億円」は算出根拠が不透明。
夫婦といっても若年夫婦から熟年夫婦までいるし、ファミリーといっても年齢の幅は広い。これをすべて「1億円」としているソニー損保はその理由を説明すべきだ。
私は、単に「保険料の単価アップ」という消費者不在のソニー損保の都合のような気がしてならない。

東京海上がついに損保のダイレクト販売へ参入するという記事が今朝の日経新聞に掲載された。
これは面白いニュースだ。詳しい情報が出揃う前に、私なりに勝手に想像を膨らませてみる。


【東京海上ダイレクト(仮)の強み】
・東京海上の圧倒的なブランド力。
⇒新会社の社名次第だが、「東京海上グループ」という訴求をするだけでその効果は絶大だろう。

・東京海上日動の損害サービス網を利用できる。
⇒そんぽ24やSBI損保が親会社に事故処理を委託すれば、全国への損害サービス網の構築はいらない。さらに東京海上ダイレクト(仮)が「事故時には東京海上日動の全国ネットワークが対応」と訴求すれば、実際に全国に拠点をつくらなくても、消費者は不安に感じない。


・東京海上日動から保険商品のOEM提供を受けられる。
⇒商品開発力はいうまでもない。親会社で新商品開発⇒ダイレクトへ展開ということもできるだろうし、逆にテストマーケティングをダイレクト側で行って、親会社へ展開ということもできる。


【東京海上ダイレクト(仮)の課題】
・既存の東京海上日動の保険商品とのすみわけ。
⇒「既存商品より保険料が安くて補償内容が充実」はできないだろう。
たとえば三井ダイレクトは、三井住友海上の商品内容(補償・サービス)を超えることはしていないし、これからもできないだろう。「上級商品は親会社」といったすみわけをここがするかどうか興味深い。


・既存の東京海上日動の代理店へダイレクト商品を販売させるか。
⇒既存の東京海上日動の代理店にダイレクト商品を販売させると、代理店手数料が発生し、保険料を安くしにくくなるが、代理店に販売させるのかどうか。そんぽ24は日本興亜の代理店に販売させているようだが。


なお、記事によるとNTTの次世代通信網を活かし、「テレビ」や「無線LAN機能搭載の携帯ゲーム機」で保険に加入するしくみの実用化を検討しているそうだ。
わざわざ「次世代通信網」を使うからには、単にテレビや携帯ゲーム機で保険を販売するだけにとどまらないだろう。

例えば・・・
動画で保険商品や手続き方法の説明を受けつつ、アドベンチャーゲームのように自分のライフスタイルやニーズの選択肢を選んでいくと、簡単に自分にあった最適な保険プランがつくられ、その場で申込みから保険料の支払いまで完了する。・・・といったことも考えられる。

自宅にいながら、あたかも対面販売を受けているかのような画期的なダイレクト販売スキームが実現されるかもしれない。


また、2008年10月に、NTTコムウェア社の「携帯電話を利用したクレジットカード決済サービス「EasyDo」」を東京海上日動が導入したというニュースがあったが、これも今回の東京海上ダイレクト(社)での販売で活かされることだろう。

「すべてネットで手続き完結」ということに利便性を感じる人がいる一方、「見積・申込書が手元にないことに不安を覚える人も少なくない。
そのような人に対しては、紙の「見積・申込書」をなくすことは難しいだろう。

特に、継続手続きにおいては、満期案内書を手元に、パソコンを立ち上げることなくその場で携帯電話を使って保険料の支払い手続きができるメリットは大きい。
何でも「ネット完結型」にこだわらず、「リアル(紙の帳票)」+「NTTグループの新技術」をミックスすれば、これまでダイレクトに見向きをしてこなかった顧客層の取込みが期待できるのではないだろうか。

東京海上日動のダイレクトへの参入のやりかた次第では、既存のダイレクト社の顧客を一気に奪う可能性もある。さらなるニュースを待ちたい。





以下【NIKKEI NET】より
東京海上、NTTと自動車保険など直販 春にも専門会社

 東京海上ホールディングスとNTTグループは携帯電話やインターネットを使って自動車保険などを販売する事業で提携する。近く共同出資で専門の損保会社を設立、今春の開業を目指す。国内市場が頭打ちの中で、契約者に直接販売する損保は保険料の安さなどを武器に拡大している。両社は家庭のテレビや携帯ゲーム機から保険加入できる新しい仕組みの開発も視野に入れる。

 新会社には東京海上と、NTTグループで金融関連事業を手掛けるNTTファイナンスが出資する。資本金は未定だが、東京海上が8割以上を出す見通し。月内にも準備会社を設立し、今春にも保険業の免許を取得したうえで開業する。 (07:00)


久々にビッグニュース。
新聞各社サイトやYahoo!にすらまだ掲載されていないところを見ると、NHKのスクープ?

持ち株会社をつくって3社をぶら下げておけば、給与水準を3社揃える必要もない。
その間にニッセイ同和やあいおいの社員を中心に大規模リストラをして、その後に経営統合。
実質的な存続会社になるであろう三井住友海上はトヨタ系ディーラーと、ニッセイの顧客に営業基盤を持つことができる。

旧あいおい、旧ニッセイ同和社員は、経営統合後に一時的に残ることができてもリストラの恐怖が付きまとう。

今後は、損保ジャパン+日本興亜、あるいは、東京海上日動+富士火災 あたりの再編があるかもしれない。

【NHKのニュースより】
12月28日 18時37分

損害保険大手の「三井住友海上グループホールディングス」と「あいおい損害保険」、「ニッセイ同和損害保険」の3社は、早ければ来年秋にも経営統合することで最終調整していることが明らかになりました。実現すれば、売り上げにあたる保険料収入で国内トップの損害保険グループが誕生することになります。

関係者によりますと「三井住友海上グループホールディングス」と「あいおい損保」、「ニッセイ同和損保」の3社は、早ければ来年秋にも持ち株会社のもとで経営統合する方向で最終調整しています。3社は来月中の基本合意を目指しており、将来的には合併も視野に入れているものとみられます。「三井住友海上」は、ことし3月期の決算で売り上げにあたる保険料収入が業界2位で、4位の「あいおい」、6位の「ニッセイ同和」との統合が実現すれば、保険料収入は2兆7000億円を超え、最大手の「東京海上ホールディングス」を5000億円近く上回る国内トップの損害保険グループとなります。損害保険業界では、少子高齢化と景気の悪化に伴う国内市場の縮小や、消費者の不信を招いた保険金の不払い問題の影響で、自動車保険や火災保険などの主力商品の販売が頭打ちとなっているうえ、世界的な金融危機の影響で保有する金融商品が大幅に値下がりするなどして多額の損失を出す会社も相次いでいます。このため3社は、経営統合によって営業基盤の拡大や事務システムの効率化を進め、競争力を高めるねらいです。業界の勢力図を塗り替える巨大グループの誕生は、損害保険の枠を超え、生命保険や銀行を含めた金融業界全体の再編を加速させることも予想されます。

またまた独り言。

以前からよく覗かせていただいている現役損保社員の方のサイトに、非常に心打たれる記事が掲載されていた。
「東京海上日動社作成の小冊子『こころから』」

東京海上日動社の全国の損害サービス部門(事故対応部門)の担当者の生の声を集約したものとのこと。こんな素晴らしいものを社内冊子として配布できる東京海上日動社。
これが東京海上日動社の奥深さなのだろう。


ソニー損保の「事故解決スペシャリストたちの声」
も東京海上日動社の「こころから」と同じように、事故担当者の生の声を掲載している。
これも社外向けというよりも、むしろソニー損保の社内の事故担当者たちへのメッセージなのかもしれない。

事故担当をしたことがある担当者なら、誰しも一度はここにあるような気持ちを持ったことがあるはずだ。
しかし、その感情を持ち続けている担当者はどれだけいるだろうか。
日々の業務、クレーム処理、不払い対応などに追われるうちに、いつの間にか忘れてしまっていないだろうか。

私自身はすでに損害保険会社を去った身だが、これらの言葉を読んでいるうちになんともいえない熱い気持ちがこみ上げてきた。

東京海上日動が、「保険金不払いの再発防止を図るため」、様々な特約を廃止することが明らかとなった。

一連の保険金不払いの再発防止というと聞こえがよいが、廃止する特約の種類を見て、業界人(特に損調部門)は感じることがあると思う。

「代車費用特約」・・・5種類ある代車費用特約のうち、車両の修理日数に応じて定額を支払う「定額払方式」の4特約を廃止し、実際に代車としてレンタカーを借りた場合、その実費を支払う「実損払い方式」のみ残す。


「搭乗者傷害保険」・・・実際の入通院日数に応じた金額を支払う「日数払い方式」を廃止し、ケガの部位と程度に応じた「部位症状別払い方式」のみ残す。


この2特約とも、おそらく「損害率(ロス)が悪い(保険料収入より保険会社が支払う保険金の割合が高い)」特約であり、今回廃止するのは顧客への信頼回復という「不払いの防止」という側面よりも、保険会社側の都合ともいえる「売って損をする特約の販売中止」という側面が強いのではなかろうか。

今回残した「実損払い方式」の代車費用特約などは、契約者が事故時にレンタカーを借りずに、公共交通機関で辛抱した場合など、掛け金(保険料)を支払っているにもかかわらず、保険会社からは一円も支払われないものだ。

ここでは、「新たな不払い」が起こりうる。
事故の際、保険会社側から「お客様は代車特約をお付けですので、レンタカーを金銭的な負担なくお乗りいただけますよ」ということをせず、「契約者が自発的にレンタカーを借りて、保険金の支払を求めてこない限り」支払わないことが想定される。

これは、保険会社の理屈では「レンタカーを実際に借りる」という「保険金の支払事由」が発生していないため「保険金不払いではない」というだろう。

しかし、保険会社側から事故の際に、加入の補償内容を分かりやすく説明し、積極的に「レンタカーを本会社側から手配する」といったことを徹底する「しくみ」をつくらない限り、私は実質的な意味での「保険金不払い」体質から保険会社が抜け出すことはないと思う。


東京海上日動の今回の発表に各社はおそらく横並び的に追随して特約の廃止を打ち出してくるだろうが、それだけに終わるのではなく、保険会社側から、契約者に積極的に保険金の支払の案内をする保険会社が現れることに期待したい。

<フジサンケイビジネスアイより>

東京海上日動が特約統廃合 自動車分野で18種類廃止へ
FujiSankei Business i. 2007/1/16  

損保最大手の東京海上日動火災保険は15日、主力商品である自動車保険で、顧客が選択する付加契約である特約を18種類廃止するなど、2008年2月の契約開始分から保険商品の仕組みを簡素化する方針を明らかにした。損保業界では商品構成の複雑さなどから大量の保険金の不払いが明らかになっており、特約の統廃合で不払いの防止を図る狙い。

 商品簡素化の中心となるのは、契約者が事故を起こした際に代車費用を補償する特約。代車に関する4特約を廃止し「事故時レンタカー費用補償」に一本化する。

 東京海上日動は、自動車保険の不払いが5万4000件(昨年9月末)判明しているが、このうち代車関連特約の不払いが1万件と多かった。特約の設定や保険金支払い方式が複雑になりすぎて支払うべき保険金の把握が困難になっていたためで、商品自体の簡素化によって改善を目指す。このほか、ゴルフのホールインワン特約など自動車保険と直接関係のない特約も一部廃止する。

 すでに12日には、販売代理店に対して自動車保険の統廃合を通知。廃止する特約は契約更改の際になるべく販売しないように求めている。

 同社は個人向けの全特約1700種類を約850種類に削減する方針を打ち出しており、今回の商品の簡素化はこの一環。今後は火災保険や傷害保険などでも同様の特約の見直しを実施する。

自動車保険ランキングとは別に、損保会社自体のランキングも掲載されていた。
・成長力
・多角化度
・収益力
・安定性
・健全性
の5項目でのランキングだ。
A~Eの5段階で総合評価されている。

1位 三井住友海上 A
2位 損保ジャパン A
3位 東京海上日動 A
4位 アメリカンホーム B
5位 ソニー損保 B
6位 ニッセイ同和 B
7位 日本興亜 C
8位 あいおい C
9位 日新火災 C
10位 チューリッヒ C
11位 AIU D
12位 朝日火災 D
13位 富士火災 D
14位 共栄火災 D
15位 セコム損保 E
16位 三井ダイレクト E
17位 アクサ損保 E


一部首をかしげるところはあるが、「自動車保険ランキング」よりは、納得できるか。

自動車保険を損保社員が比較

週刊東洋経済(2006.4.22)に「最強の「保険力」徹底比較」という特集が組まれた。

その中で自動車保険ランキングが掲載されていたので紹介する。
採点基準は、保険商品に詳しいファイナンシャルプランナー3人に、
・コストパフォーマンス
・補償内容
・先進性
・わかりやすさ
・自在性
の5項目をそれぞれ5点満点で採点したランキングだそうだ。

1位 ベリエスト(富士火災)4.25点
2位 VAP(日新火災) 4.18点
3位 MOST(三井住友海上)4.13点
4位 KAPセットアップ(共栄火災)4.10点
5位 ONE-do(損保ジャパン)4.06点
6位 自動車保険(ソニー損保)4.00点
7位 総合自動車保険ダイレクト3(三井ダイレクト)3.98点
8位 トップラン(あいおい損保)3.95点
9位 トータルアシスト(東京海上日動)3.90点
10位 総合自動車保険(アクサ損保)3.83点
11位 USA Premier(AIU)3.78点
12位 ぴたっとくん(ニッセイ同和)3.62点
13位 あんしんDX(JA共済)3.55点
14位 NEWセコム安心マイカー保険(セコム損保)3.42点
15位 クルマックス(日本興亜)3.40点

うーんと唸ってしまうランキングだ。
日新火災のVAPってそんなに高ランキングされるような商品だっただろうか?
他社と同じようなごく普通の自動車保険だと思うのだが。


自動車保険を損保社員が比較

ちょっと古いニュースなのだが、富士火災が2月から「ベリエスト」というハイグレード自動車保険契約者を対象に新しい損害サービスを始めた。

特に注目すべきサービスは、事故受付後、1時間以内に初期対応の状況報告の電話をする「安心コール1」というものだ。

事故受付を行ってから1時間以内にそこまでの対応状況を契約者に電話で報告することをサービス名称をつけて、対外的に訴求していくというのは、画期的だ。

しかも、よくありがちな「土日や夜間を除く平日営業時間内に限ります」といったサービス提供の制限もないところが、既存国内大手損保はおろか、ソニー損保、三井ダイレクトなど、土日や夜間の初動対応をセールスポイントにしている通販自動車保険会社のサービスさえ遥かに凌駕している。

ただもったいないのは、富士火災がこういった優れたサービスを一般消費者に充分訴求しきれていないということだ。
このようなサービスを、チューリッヒやソニー損保などマスメディアを使った宣伝を大量に出している通販自動車保険会社が実施してきたら既存国内損保にとって大きな脅威となるだろう。

これからの自動車保険は、富士火災のように、サービス品質を明確に顧客に示していくということがスタンダードになっていくと思われる。

自動車保険を損保社員が比較


<以下 ニュースリリース>
富士火災、自動車保険「ベリエスト」契約者向けに「安心コール1」をサービス開始
自動車保険「ベリエスト」契約者に対する新損害サービス対応「安心コール1(ワン)」の開始について

 富士火災海上保険株式会社(代表執行役社長CEO:ビジャン コスロシャヒ)は、“業界初”の「“1時間以内”初期対応状況お知らせコール(ペットネーム:安心コール1(ワン))」を自動車保険「ベリエスト」契約者に対して開始いたしました。(2月15日(水)以降事故受付分より)

1. サービス誕生の経緯
 弊社では、コーポレートビジョンである「最高品質の損害サービス」の実現に向けて、昨年より社内組織横断のプロジェクトチーム(名称:「Fプロジェクト」)を立ち上げ、“損害サービスのあるべき姿”について検討を重ねて参りました。
 論議の結果、「自動車保険においては、事故直後のお客さまに素早く初期対応の状況をお知らせすることが、お客さまの不安解消と円満な事故解決に向けた第一歩となる」との結論に達し、“業界初※”となる「“1時間以内”初期対応状況お知らせコール(ペットネーム:安心コール1)」を実施いたします。
 これまでも初期対応の状況については、対応完了後、お客さまへ速やかにお知らせしていましたが、その所要時間にばらつきがありました。「安心コール1」では、これを改善し、お客さまに少しでも早くご安心いただけるように“1時間以内”という期限を設け、お知らせすることをお約束いたします。

※ 弊社自動車保険「ベリエスト」ご加入のお客さまに対して、特にご希望されない場合を除き、全件「安心コール1」をご提供することが“業界初”となります。

2. サービスの概要
 「安心コール1」は、弊社の「セイフティ 24サービスセンター(事故受付集中センター)」にお客さまから直接報告いただいた自動車保険の対人・対物・人身傷害の事故案件について、事故受付後“1時間以内”に初期対応(相手方への連絡、病院への手配等)の状況をお知らせすることによって、お客さまに“安心”をご提供するものです。
 補償・サービス充実型の「ひとつ上を行く自動車保険“ベリエスト”」にご加入のお客さまを対象といたしますが、「ベリエスト」においては、事故担当スタッフが“48時間以内”にお客さまを訪問し、事故解決までの手続きに関する説明やアドバイスなど初期対応の援助を行う「事故時ご自宅訪問サービス」を実施しております。
 従いまして、今回の「安心コール1」の導入によって、[1]“24時間365日弊社社員常駐”の「セイフティ 24サービスセンター」への事故報告、[2]「安心コール1」による“1時間以内”の経過報告、さらには[3]「事故時ご自宅訪問サービス」の“対面”によるご説明、と事故発生直後の一連の即応体制が拡充されるため、お客さまの事故による不安を解消する一助になるものと確信しております。
 弊社におきましては、今後も独自の損害サービス体制の充実を図り、お客さまに“身近で頼れる富士火災”を体感していただくことによって、主力商品である自動車保険の販売を推進してまいります。

3. 今後の展開
 お客さまのご利用状況を見極めつつ、対象契約を順次拡大する予定です。

既存国内損保のニュースはブログを書きたいと思わせるものがなかなかないのだが、
ニッセイ同和損保が「4月に契約期間が2年と3年の自動車保険を発売した」ことに関連した業界新聞の記事で面白いというか苦笑させられるものがあった。

<記事の要旨>
長期契約の自動車保険は他の既存国内損保も販売しているものの、積極販売していない。この長期契約をニッセイ同和が積極販売する方針を打ち出した。

「毎年の更改手続きは顧客にとって面倒で、長期契約に対するニーズがある(社長コメント)」
営業社員の立場でも、長期契約は毎年の更改作業が2年、3年となることで契約を維持するための負荷が軽減される。ニッセイの営業職員を主要な販路とするニッセイ同和にとって「ニッセイマーケットにあった商品(社長コメント)」であり今後主力商品と位置づける。
(要旨おわり)


この記事を読んで、あまりにも時代遅れの発想であることに苦笑してしまった。
一般的な自動車保険の契約は1年であるが、これは1年ごとの契約の更改の都度、顧客とのコミュニケーションの機会があるということだ。
ただそれでも1年に1回のコミュニケーションだけであり、よほど代理店と人的なつながりがない限り、顧客はその代理店や保険会社に対するロイヤルティは感じることはないだろう。
この少ないコミュニケーションの機会をさらに2年、3年に1回に減らそうというのだから、顧客のニーズどころか「忘れた頃に何年かぶりに連絡をしてくるご都合主義の保険会社」という印象をあたえることになる。
顧客とのコミュニケーションの頻度を減らしていくという発想は私には理解できない。

このように契約維持コストの削減にばかり目がいって、一番忘れてはならない顧客とのコミュニケーションをおろそかにするニッセイ同和は、今でこそ「ニッセイ」ブランドを武器に大手6社の一角といわれているが、財閥系大手とはやはり本質的に異なるのだろう。

日本興亜損保とならんで、自動車保険が伸び悩んでいるが、社長がこれでは当然かもしれない。


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